2020 May. 28

気分はシェケナベイビー

昨年の大手術で膀胱を摘出し、その代わりにストーマ(腹部の開口部…見た目は梅干しみたい…)を保有する人工膀胱保有者になり、障害者手帳が発行された。文字にすると仰々しいが、見た目はストーマじゃなくスマートなジジイ、それもチョイとオシャレなジジイである(なんつって)。

こんなジジイが電車の優先座席に座っていると、「何でアンタが堂々と座っているの?」的な目で見られているような気がする。確かにかなりシャレオツなジジイではあることは認めるが(自分で言うか…)、病み上りのヨレヨレであることには間違いない。そこでジジイは考えた…「そうだ、杖に頼ってもっと病人っぽく振舞うぞ」と。

偶然出会った「杖」がひじょうにカッコいい。一刀彫の高級感漂うアンティーク風の逸品。

一刀彫の高級感漂うアンティーク風の逸品

サイズもちょうどよく、気分は「シェケナベイビー」ってな感じ。

気分は「シェケナベイビー」
気分は「シェケナベイビー」

この「杖」の効果は絶大。満席時に座席を譲ってくれる優しい人が多いことは有難いのだが、座っている人たちの中で一番年配の方が多いというのも複雑な気分。優先座席に堂々と座っている若造に限ってスマホなどに夢中で、前に立っているジジイなどにはお構いなし状態である。ま、自分のこともあるように、人は見た目では判断できないし、優先座席に最初から座っている若者でも「どこか故障しているのだろう」と思うようにしているので、近頃はあまり腹も立たない(人間として終末期を迎え、穏やかになっているからだろうか…)。

退院してから間もない頃は、やはり立っていると身体がフラフラし座ると楽になっていたが、有難いことに最近では別に座らなくても大丈夫になってきた。ただ、「杖」は席を譲ってもらうための小道具ではなく、あなたは座っていても大丈夫ですよ!という免罪符的アイテムとして活用している今日この頃。

席を譲ってくれそうになると、「大丈夫です。これはファッションです。」とオトナの対応を心掛けている。ただ、ジジイを無視している若造の前では「杖」にすがってハアハアしてやろうかという気にもなったりする。やはりまだ悟りの境地にはほど遠いようだ。

「杖」というより「ステッキ」という表現の方がオシャレっぽい…

「ステッキ」はボクのオシャレアイテムの1つになったが、健康な人が「ステッキ」を使用することにはかなり抵抗があることは否めない。実際、足が弱ると「ステッキ」は実用的なアイテムであることはよく分かるのだが、ボクが健康な時、デパートの「ステッキ」売り場のスタッフが「いかがですか?ご覧になっていきませんか…」と声をかけてきたとき、誰に向かって言ってんの!と、窘めたものだ。

「杖」というより「ステッキ」という表現の方がオシャレっぽい…
オシャレなステッキも多い

「ステッキ」をオシャレアイテムとして取り入れる人が増えるといいなぁ…と思っているが、やはり健康な人にはハードルは高いようだ。確かに、健康な人がオシャレで「ステッキ」を愛用していると、「マジシャンか!」「チャップリンか!」ってなツッコミが入りそうだ。多くの人に「ステッキ」は「杖」であり、介護やリハビリ用品の域を出ないのかも知れない。

しかし、時々「ステッキ」姿のオシャレな紳士を見かける。面白いもので、「ステッキ」利用者のほとんどが帽子の愛用者。古き佳き時代は、帽子(中折れ帽)と「ステッキ」は男性ファッションの必須アイテムであり、英国紳士を意識したジェントルマンを真似ていたのが当時のファッションスタイル。

帽子(中折れ帽)と「ステッキ」は男性ファッションの必須アイテム
古き佳き時代のファッションスタイル

またそんな日がやってくることを願っている。

毎日掲載しているエッセイですが、明日からしばらくお休みします。明日、「ダダ」と「ジジ」を受け取りに行く予定。当分はネコちゃんたちと親交を深めます。

「ダダ」と「ジジ」
「ダダ」と「ジジ」

 


 
 
 
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