2020 May. 23

赤い球伝説とバスルームの惨劇

初めて体調に異変を感じたのはちょうど還暦を迎えた頃だったと記憶している。神戸・三宮の神戸国際会館地下のトイレに入った時、尿に混じって赤い小さな異物が…「えっ何?」とビックリ。小さな血の塊みたいな物体が…「えっどこか悪いのか?」少々不安になると同時に、昔からあそこから赤い球が出たらもう男として終了、打ち止めという都市伝説を思い出す。

いずれにしろ男として危機的状況であることに間違いない。

しかし、その後は何の異常もなく平穏無事な日々が続くと、あれは幻だったと勝手に思い込む。それから頻尿かな…と思うようになるまで2年か3年の月日が流れた。トイレに向かう回数が増え、途中でトイレに行くのが面倒臭くなり、趣味だった映画を鑑賞するのも徐々に億劫になってくる。

1時間に1度トイレに行きたくなってくる頃には「こりゃ絶対にヤバい…」と感じていても、根っからの能天気体質からダメになったらそれはその時…と、まだアクションを起こさないバカっぷり。その後、寝ていても1時間くらいで尿意で目が覚める始末。ホントいつ眠っているのだろうと思えるほど滅茶苦茶な生活が続くと、体が衰弱していくのが感じられる。食欲もなく、近所のスーパーで買うスイカのパックが主食になる。

季節が移り変わり、2018年の冬に自分自身の今後の身の振り方を決定する大きな事件が勃発。その日は寒い夜であった。普段はシャワーだけなのだが、身体を温めるためバスタブにお湯を溜め、ゆっくりと入浴。程よく温まりバスタブから立ち上がる…そして、気が付くと身体はバスタブの中、手には外れたユニットバスの扉の取っ手が握られている…「えっ、どういうこと?」しばらく自分の置かれた状況が把握できなかった。しばらくすると、やっと自分が気絶していたということが判明。しかし、どれくらいの時間気を失っていたのかは不明。

こんな怖い初めての経験をすると、体調不良もシャレの段階ではなさそうだ。コップの中で燃える命の蝋燭がフラッと揺れた瞬間が垣間見えたようだ。こりゃ覚悟を決めよう…。

コップの中で燃える命の蝋燭がフラッと揺れた瞬間が垣間見えた
画像はイメージです

住んでいるマンションの目の前に2017年に移転してきた大きな総合病院があり、そこは泌尿器科も標榜しているので受診を決意。

マンションの目の前に2017年に移転してきた大きな総合病院
近所の総合病院

今までに病院にかかった事がないボクでも、最初から大病院を受診する際には紹介状がなければけっこう高い費用を負担しなければいけないってことは分かっている。

かかりつけ医もいない状態。さぁ〜どうする。ここで登場するのが同級生のドクター。彼は故郷のでっかい総合病院の理事長という肩書。世間的には凄く偉い先生なのだが、昔よく遊んでいた同級生だけに気軽に頼み事できる存在。チョイと紹介状を書いてよと無理なお願いをするが、快く引き受けてくれるドクター。持つべきものは友人である。ただ、この同級生はなかなかの曲者で、後々登場する予定だが、チョイと面白いエピソードを提供してくれることになる。

余談ながら、多くの人は知り合いに「先生」や「社長」という肩書は案外いるのものだが、「理事長」という存在は少ないと思うし、もう1つ「頭取」という肩書も珍しいかも知れない。

東京で学生生活を送っていた時によくマンションに遊びに来ていた故郷の後輩が卒業後に地元の銀行に就職し、2008年には当時の地銀界おいては最年少の51歳で代表取締役頭取に就任するという出世頭。世の中面白いものだ。

ドクターからの紹介状が届き、電話で予約し、いざ病院に。そして、癌の宣告。

 


 
 
 
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