2020 June. 8

温泉を手に入れた男

昨年の夏に一旦退院し、手術前に体力の回復に励んでいた頃、テニス再開のきっかけになった友人のスクール視察のため帰省したことは以前にお伝えした。

しかし、その帰省には他にも面白い理由があった。

別の友人からチョイと刺激的な情報が入ってきた。「彼は温泉を買ったそうだ」と。え、何、温泉って…どうもピンとこない。調べてみると、2012年から休館している町健康管理センターの日帰り温泉施設が売りに出て、知人に頼まれ入札、他に競合する相手がなく、かなり安価で入手したという。

その件を彼に電話で確認し、ちょうど帰省時期に合わせ温泉施設を見学に行こうってなことになった。温泉施設を手に入れて、一体何に使用するの?ストレートな質問を彼にぶつける。「さぁ、どうしようかなぁ〜、何にも考えてない」というではないか…。そして、どうしたらいいか考えてよ…と、チョイと能天気なことを言う。

ま、ボクがこういう状態だから、「温泉施設のあるホスピスなんていいんじゃない。管理人してやるよ。」と提案。しかし、彼は即答でNo。人の生死に係るビジネスはダメという。そりゃそうだ、機械製作屋のオヤジがホスピスって…、あまりにも方向性が違うもの。

温泉施設ってけっこう難しい物件であることに間違いない。また、彼は「才能ある若い連中に自由に使用してもらうフィールドとして活用できれば…」なんて、チョイと浮世離れしたことを言い出す始末。ま、どんな施設か現物を見て判断しよう…。

故郷の徳島県の南東の海岸沿いに位置した海部郡牟岐町に1992年に「湯のさと鬼ケ岩屋」として開業した日帰り温泉だが、2012年8月に営業を休止。その後は休館したままの施設。ユニークな玄関が印象的でなかなか味わい深い温泉で、開業当時はけっこう人気だったようだ。確かに手を加えれば営業再開できそうな雰囲気が漂っているが、入手した費用より高価になることは間違いない。

鬼ケ岩屋温泉
鬼ケ岩屋温泉の玄関

鬼ケ岩屋温泉
屋根には鬼瓦

広大な敷地に十数種類の浴場を備えたヘルシーランドには、大きな駐車場や中庭もあり、かなり立派な代物。利用方法によればホントにステキな買い物である。欲しいと思ってもそう簡単に手に入るモノではない。こんな施設を入手できるなんて、まったく面白い男である。

見学を終了して、彼の行きつけの料理屋で夕食を楽しんでいると、「どう思う?」と彼。「面白い物件だよね」とボク。「まだ決めてはないけど…」と前置きし、「せっかく水の循環装置があるから、うちの技術で水の完璧な浄化装置を製作して実証の場として活用し、海外のお客を招こうかと思う」とポツリ。「おっ、迎賓館として利用するのか…カッコいい!」こんな発想力をもっていたなんて、こやつなかなかの男やのぉ〜と、妙に感動する。そして、「どうせ遊び感覚ですることだから、3年くらいで結果が出なければやめるわ…」と、男前発言を続ける。

またプロジェクトが動き出したら面白いアイデアを頼むわ…と、アルコールで上機嫌の彼。さすがに自主的に酒もタバコもNGにしているボクは、冷たいお茶を飲みながら「OK」とお付き合い。あの夜からそろそろ1年になろうとしているが、その後どうなったかの報告はなし。ま、ここしばらくはコロナ騒動で大人しくしていることは察しがつく。どんな状況なのか…楽しみである。

 


 
 
 
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